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2017年5月21日日曜日

就眠儀式とはなにか?

Question

就眠儀式とはなにか?
就眠儀式とはいったいなんでしょうか。なにか特別な儀式をするのでしょうか。

Answer

就眠儀式というのは、精神分析の創始者であるフロイトが発見した事実で、人間は寝る前に、ある一定の行動をとらないと眠れないというものです。

一例をあげてみましょう。まず、台所へ行ってガスの栓が開いていないかどうか点検する。窓の鍵をかけ忘れていないか、点検する。玄関の戸じまり、そして火の後始末。それらをすべて見る。

いよいよ寝床に入る前には、目覚まし時計をセットする。しかも、枕のちょうどうしろにおく。それから、日ごろ、たいせつにして読んでいる本などをその右におく、という具合です。

これを毎日、一定の順序にしたがって一定の方法でやらないと、どうしても眠れないという人がいます。

東京大学を卒業したある精神科医は、「私は就眠儀式を10ほどやらないと眠れない」といっていましたが、こうした行動は健康な人でもよくやっていることなので、べつに心配する必要はありません。

ただ、あまりにこの就眠儀式にこだわりすぎると、だんだん病的になり、強迫神経症と呼ばれるようになります。

たとえば、夜中に、ガスの栓を閉め忘れたのではないかと心配になって何10回も見まわりにいく。それでもまだ、安心して眠れない。ついに疲れはてて、自分でもどうしていいのかまったくわからない…。こういうことで、精神科医を訪ねる人がいます。

たしかに、これは病的です。こうした人以外なら、まず心配はないでしょう。かえって、それが心地よい眠りを誘うものです。ところで、この就眠儀式、つまりスリープ・セレモニーという現象は、生理学的にどう説明できるのでしょうか。

有名な「パブロフの条件反射」をご存じでしょう。犬にべルの音を聞かせながら肉片をあたえていると、肉片をやらなくてもベルの音だけで唾液が出るようになります。

つまり、「ベルの音」「肉片」が条件として結びつき(条件結合)、条件反射を形成したわけです。これを繰り返し繰り返し行なうと、この習慣があとあとまで長く残ります。

就眠儀式も、こうした条件反射の一種と考えられます。つまり、偶然に寝る前に行なっていた行動が、いつの間にか就寝に結合してしまい、この条件が守られないと眠れなくなるというものです。

さきに述べたように、枕もとの目覚まし時計を自分の頭の臭うしろにおくとか、あるいは、頭と時計の距離を一定に保っていないと眠れないというものです。

なかには、障子の戸がつねに27cmちょうどに開いていないと眠れないという人もいます。なぜ27cmという数字がたいせつなのかというと、彼は大のオーディオマニアで、愛用していたミッド・レンジスピーカーの寸法が27センチだったというわけです。

ところで、こうした就眠儀式を除去する方法があります。さきほどの犬に、ベルを聞かせてなにもやらないという操作を数回、5~10分おきに繰り返すと、唾液の量はそのつど少なくなり、ついにこの条件反射は消失してしまいます。

これを就眠儀式に応用すると、こうなります。自動車や列車の音が聞こえると眠れない人の場合、前日あらかじめ、睡眠時間を半分くらいに減らしておき、これを何回か連続して繰り返すと、どんなに激しい騒音の中でも眠れるようになります。こうして、就眠儀式の1つは消去できます。

 質の高い睡眠(短深眠法)

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